塩っ辛いスープを飲み干した。
海水の味のする肉を咀嚼して、ごちそうさまと手を合わせた。
「おそまつさまでした」
目の前の少女が笑って皿を下げた。
「味はどうだった?」
「まあまあ」
「キミって語彙が少ないよね」
呆れたように言うのに、「足りん」とおかわりを所望する。
どうせスープは寸胴いっぱいに入っているのだ、なくなることもあるまいと少女は皿を手に台所に向かった。
スープはくつくつと美味しそうな匂いをたてている。
骨からダシをとり、何日も煮込むなどして手間暇かけて作ったのだ、これで美味しくなければ素材が悪い、と少女は決めつけた。
誤って殺してしまったものとはいえ、きちんと食さねばもったいない。
「はい、どうぞ」
「どうも」
一言だけ言って男はスープに取りかかる。
感謝もへったくれもない態度には慣れているため少女は男から目を背け、自分の分のスープも注ごうかと食器棚を開いた。
「なあ」
「なあに?」
「ウミガメのスープを飲んだ男は自殺したな」
不意に背後からかけられた声に少女は笑顔で振り向いた。
「さあ、僕は知らないなあ」
ウミガメなんて食べたことないもの。
やっぱりな、と男はため息を吐いて「おかわり」スープをもう一杯いただくことにした。





ウミガメのスープ