「あ、シェゾだ」
家を出て数歩でそう珍しくない人物とエンカウントした。
ひょっとしてボクを待ち構えていたのだろうか。想像して顔が引き攣る。
「気持ち悪っ」
「誰がだ!」
声に出していたらしい。
まあいい、と咳払いをするのがわざとらしい。どうせいつもと同じ科白が飛んでくるに決まっているのに。
「アルル、そろそろ素直に貴様を寄こすんだな」
「はいはい」
なおざりな返事。聞いているのか、の言葉は黙殺した。
「キミこそそろそろボクの忠告聞いたら?そんな黒づくめじゃ暑さでぶっ倒れても知らないんだから」
今日も暑くなるだろうことはわかっているのに、相変わらず上から下まで真っ黒な格好。
以前砂漠でも黒づくめで彷徨っていたらしい。学習能力ないのかな、失礼なことを考える。
沈黙が降りてしばらく。ああ、とシェゾが何か思い出したように声を出した。
「やる」
何かを探すかのような仕草をすると
ぽん、と無造作に藍色の箱を渡される。
白いリボンで留められていて、まるでプレゼントボックスのようだ。
「誕生日なんだろう?サタンが大々的に告知してたぞ」
「はあ」
プレゼント。この男が?似合わないにも程がある、思いっきり眉を寄せて不信感を露わにした。
「・・・なんか企んでる?」
「人の贈り物も素直に受け取れんのか貴様は」
ひょい、と取り上げられそうになる手の中の小さな箱を慌てて抱え込む。
「あっ嘘嘘。有難く頂戴致します」
「後から売っ払おうとか考えてないだろうな」
「そんなことしないもん。宝石とかだったら話は別だけど」
結局は売り払うんじゃないか、と呟く彼に「おや、ひょっとして宝石?」と茶化してみると
「魔道具だ、売るより使え」
「はーい」
実用品とはまったくもって彼らしい。
「色気が無いね、キミは」
あってどうする、という反論に「それもそうか」と納得して藍色の小箱を掌で転がした。
男はそっぽを向いていて、どのような表情をしているのかさっぱりわからない。
「でもプレゼントかあ・・・嬉しいや。ありがとう」
「どういたしまして」
掌に収まるくらいの大きさの箱を振ると、中でからから音がした。
「ね、何かお礼がしたいんだけど」
「ならば次の俺の誕生日くらい祝え」
「うーわ上から目線。そんなだから友達いないんだよ」
厚意マイナス1
進歩しないな、この男