「カーニバルって、なんだよ」
やっぱり夢だった、開いた目に飛び込んできた煤けた木目の天井を見上げながらひとりごちる。
曇り硝子の嵌めこまれた窓からは強い朝の陽ざしがさんさんと降り注いでいる。
頬に雫が落ちていたが、あまりに太陽が眩しいせいにした。
ぼうっと外を眺めて、一日晴れるんだろうかと窓を開ける。
もう夜の涼しさは太陽から追いやられて、生温い風が頬を撫でるばかり。
「今日も暑そうだね、カーくん」
隣で眠っている筈のカーバンクルに声をかける。
しかし対する答えはない。
まだ眠っているのかと横を見るが、影も形もそこにはなかった。
「あれ、カーくん?」
先に目が覚めてお腹でも空かせて食料庫漁りに行ったのだろうか。
とりあえず着替えるかと寝台から足を下ろした。
着替えに行くついでに食料庫を覗いたけれど、カーバンクルは見当たらなかったし、食料も食い荒らされているなんてことはなかった。
青いワンピースに白のトップスといういつもの格好に着替えて、家の中を探してみる。
洗面所、台所、寝室、居間。
どこにもあの黄色い後姿は見当たらなくて、ひょっとすると外に出たのかもしれないと考える。
「どうしようかな・・・」
何処を探せばいいのか途方に暮れる。
そりゃカーくんなら一人でも立派に生きていけるだろう。(主にそこら辺に自生している動物だとかを食べて)
もしかしたらサタンの城にでも行ったのかもしれない。御馳走が食べたくなったとか。
絶対ない、とは言い切れないけれどサタンの城まで行って、それでもカーくんが見つからなければ、それこそサタンは半狂乱で探し回るだろう。無意味に騒がせるのはいやだなあ、溜息をつく。
かといって他にあてはない。今までカーバンクルが一人で勝手に何処かへ行ってしまったことはないし、好きそうな場所もわからない。
「この時間じゃお店も空いてないだろうし、やっぱりサタンのところかな」
仕方ない、行くかと扉に手をかけると窓辺でごそりと音がした。
しまった、窓を開けたままだったっけ。
いくらなんでも不用心だよねと寝台脇の窓を振り向いた時、見知った黄色い姿が目に映った。
「カーくん!」
何でもない様子でひょいと窓の桟に飛び乗ったカーバンクルに駆けよる。
「よかった、心配したんだからね」
「ぐー!」
「へ?」
ずいっと眼前に差し出されたのは赤い撫子を束ねて作られた小さなブーケ。
「これ、カーくんが?」
「ぐう!」
人間であれば胸でも張ったであろう得意気な様子に、アルルは目元を緩ませた。
「誕生日、覚えててくれたんだ・・・ありがとう」
褒めて褒めてと全身で表現している様子は、人間よりよっぽど素直で微笑ましい。
今日という日が嬉しくなって、思わずカーバンクルを抱き締めた。
「ようし、今夜は御馳走にしなきゃね!美味しいカレーをいっぱい作ろうね、カーくん」
「ぐっぐぐー!」







可愛いあなたの誕生花