ねえキミ、頼むからボクの目の前では死んでくれるなよ、彼女は可愛らしい唇に可愛らしさの欠片もない言葉をのせた。

だってほら、キミとボクはとてもとても仲が悪いから。ボクがキミを殺したと言われてしまいそうだ。それは耐えられない。
そしてさ、キミはとても見目よい顔立ちをしているけれど所詮それは生きている間のことで、死んでしまってそれが腐り崩れていくのは見たくはないし、かといって死体を片付けるのも骨が折れそうだ。
だからキミ、ねえ頼むからボクの目の前でだけは死なないでおくれ。

懇願する彼女をじっと見つめて、男はこう口を開いた。

それならお前はオレの見ていない場所で死ぬな、獲物に逃げられるなど許せることではない。
死してすぐなら魔力も奪えることだろう。お前への意趣返しに、死ぬ間際の恐怖に慄く顔を見るのも悪くない。
だからお前はオレの見ている、その前で死ね。そして出来ることならオレに殺されろ。

それだけ言って黙ってしまった男に、少女は拗ねたように口を尖らせて
――趣味悪い。
とだけ吐き捨てた。







「キミなんてさっさとどっか行っちゃえ」(ボクと一緒にいる限り死なないで)
「お前が魔力を寄こせば済むことだ」(死ぬまでオレから離れるな)
((なんて))
(言えるわけないよね)
(口が裂けても言えん)








一生やってろこのバカップル!